米国ラスベガスで2020年1月7日〜10日に開催されたConsumer Electronics Show (CES) 2020に参加したので報告する。
会場は3会場に別れ、主に展示はeRubberデバイスの展示がなされたTech East(Sands Convention Center)と Tech West (Las Vegas Convention Center)で行われた。Tech Westは3会場のうち最大で、従来の電機メーカによる製品・技術展示だけでなく、EVや次世代通信関連のメーカーの発表が目立った。
注目を集めていたのはTOYOTAの裾野で行うスマートシティ実証WOVEN CITYの展示と、SONYの試作EVであった。WOVEN CITYは裾野市の工場跡地を利用したスーパーシティの実験場を作る取り組みで、そのコンセプトは次世代の機器やモビリティがいかに住空間と融け合い新しい価値生み出すかを大きな規模で実証するという形であった。従来のビジネスモデルからは異なる分野への飛躍であり、大きなインパクトがあったように感じた。
WOVEN CITY
eRubber(eR)展示の行われたTech Westは2フロアーで展示が行われていた。2階は豊田合成を含めた企業展示が主体で、スペースも相当広かった。ヘルスケア、家電、スマートホームなどのブースごとに各社展示を出しており、日本企業はTOTOやasics、積水ハウスなどが展示を行っていた。また1階ではベンチャーやアカデミアのブースが多く、玉石混合ではあったが、韓国や中国深センのアカデミア発スタートアップの展示が目を引いた。日本も一角にJapan Techブースを展示していたが、数で言うと圧倒的に少ない寂しい印象であった…。
ここでTech West 1階で注目したブースをいくつか報告する。
加速度+足背動脈センシングデバイス
主に工場などの作業者の健康管理や熱中症対策を想定している
マーカーレスモーションキャプチャー
被験者はメンバーの佐伯であるw
ワンカメラで行っており、深層学習ベースのモデルマッチングを行なっている。
横にむいても追従をするが、複数人には非対応とのこと。
靴紐の牽引力からEnergy Harvesting +運動センシングデバイス
残念ながら説明できる人が不在であったが、靴紐からEnergy Harvestingは斬新に感じた。
オランダのスタートアップによるハプティクスを有するトラッキンググローブ
あまり使い易くはなさそうでしたが、安価なものは良さそうである。
Disrupting Innovation in Healthcareセッションにも参加した。ウェアラブルのイノベータのセッション(Fitbit, OMRON等が参加)では、数値的バリデーションが重要なだけでなく、健康にどれくらい関与するかというエビデンスの構築が重要であることを強調していた。また臨床に関わる医師のコメントもあり、その視点からは患者がデバイスの結果を持って病院にきた時のデータをどう扱うかという対処は決まっていないという点を問題視しており、我々もその点は同意するものであった。
このほか遠隔診療への応用という観点から、Evidence based medicineからPersonalized Health Evidenceという観点に転換し、ケアチームとユーザーとの関係性を向上させることにもつながることも提言されていた。我々は新城市や新城市民病院をベースとした奥三河地区を開発の土壌として利用しているが、産学官の3者共同で意見を交わすことができる枠組みはエビデンスの構築やpersonal health dataへのアクセスへの敷居が低く、personalized health evidenceの構築に最適な環境であることを再認識した。
今回の展示には多くの日本企業の参加があったものの、日本以外のアジア勢、特に韓国中国の出展の数の多さとアピールの強さに驚いた。もちろん内容や実現性などを考慮すると質の高いものばかりではなかったが、彼らは常にアピールを行い、エンジェルや共同研究者を募る姿勢には日本は完敗である。我々の持っている知識と技術の他、奥三河プロジェクトに参加している企業、研究所の5G通信や機械学習、新規開発ガジェットなどをおりこみ、他にないpersonalized health evidenceに寄与する技術の開発に邁進していきたいと感じた。
平田、米田、大山、佐伯