プレゼンティズム解析とは OMV発信の健康経営戦略

プロジェクトでの重要なミッションの一つに「市民の健康状態や社会参加能力を正確に把握できる日本初の自治体」になることが含まれている。
就労年齢であれば、仕事において自分のパフォーマンスを発揮できていることが、健康状態が良好な証になる。
経営をする立場からは、就労する個々人が十分なパフォーマンスを発揮できるよう職場環境を整えることが、いわゆる健康経営ができているということになる。

新城市民病院および新城市役所ではこのミッションを達成するために、2019年からプレゼンティズム調査を行ってきた。
調査にはRIMOH産業精神保健研究機構の宮木幸一先生のアドバイスをいただいた。宮木先生はWHOが開発したプレゼンティーズム調査票の日本語版の作成にあたり、翻訳と妥当性検証を行ってきた。

プレゼンティーズムとは、出勤しているものの、体調不良やメンタルヘルスの不調が原因で、仕事のパフォーマンスが低下している状態を指す。
集中力や判断力が低下し、ケアレスミスの増加や作業効率の低下などの問題が生じる。
しかし、欠勤ではなく出勤して業務に取り組んでいるため、労働衛生上深刻な問題と捉えられてこなかった。
この調査手法はDeNAを含めた多くの企業が導入しており、出勤しているにもパフォーマンスをだせない状態は、欠勤や医療費負担を遙かに上回ると推定されている。

2019年に行ったプレゼンティーズム調査では、相対的プレゼンティーズム、すなわち過去4週間で自分の業務処理能力は最も優れた同僚と比較してどの程度のパフォーマンスを発揮できていたかを調べた。平均点は47点、すなわち出勤しているにもかかわらず思ったほどの半分ぐらいしか能力を発揮できていないと感じていることがわかった。




医療側の監修を経て、その原因についても調査した。
この原因調査はOMV独自のものである。
パフォーマンスの低下の原因としては、肩こりを含めた頸肩腕痛、頭痛、腰痛などが中心となり、不眠や気分不良も含まれていることがわかった。




2020年からはこうした原因に介入するべく、一次調査の後に、二次スクリーニングとして痛みや不調のある部位の重症度のチェックを行う。
その結果から病院受診の必要性の判断を行い、医師による面談や治療の開始、カウンセリングや運動療法などの指導についても行うことを計画している。
2020年6月に一次調査を開始する調査の予定である。

プレゼンティーズム調査の流れ


二次スクリーニング(重症度評価表の一部)



こうした取り組みを継続することで、健康状態や社会参加能力を正確に把握できる日本初の自治体をめざしていく。この手法は多くの企業にも即座に応用可能な手法であり、今後は市役所や市民病院以外に市民や企業とも話し合いを進めて、対象を広げていく予定である。

リンク
健康経営
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/houkoku12.pdf

精神的健康とは?
http://riomh.umin.jp/lib/RIOMHpresentation20170511.pdf

プレゼンティーズムの日本語版調査票
http://riomh.umin.jp/survey.html